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過去にあったことです


 
会社に対する苛立ちから、A子さんは友人を誘って飲みにいくことになり ました。


A子さんは鬱憤晴らしに友人を誘うことがよくありました。

A子:たまには違う店に行ってみない?

友人:うん、いいよ。

彼女達はいつも通勤途中の店に寄っていたのですが、今日は道を外して散策し始めました。

A子:この店の名前素敵じゃない?

友人:そうねえ、いいかも。

A子:じゃ、覗いてみようか?

2人が入った店はスペースも広く、雰囲気も良いバーでした。

2人は飲みながら会話に夢中となっていましたが、突然A子さんの話が止まりました。

A子:ねえ、あの店員素敵じゃない?

友人:あなた好みかもね。

A子さんはテキパキと仕事をこなす、1人の店員をその目で追い続けました。

友人:A子、あんたあの人好きなの?

A子:好みかも。フフフ。

A子さんはその店員に近づきたい気持ちでしたが、席も離れているので店員を見つめつつ、今日は
帰る事にしました。

A子さんは帰宅してもその店員が頭から離れません。

A子さんは週末再度その店に行くことにしました。

目的は勿論その店員と話のきっかけを作る為でしたから、開店と同時に店に入りました。

店を見渡しましたがその店員は見当たりません。

店長:お客様、待ち合わせですか?

A子:いえ、ちょっと。

A子さんは渋々待つことにしましたが、一向に目当ての店員は現れません。

それどころか他の客から話し掛けられたので、今日は早く店を去りました。

A子さんは気落ちしましたが、ふと友人と行った曜日を思い出し、その曜日に再度行くことにしました。

その考えは当たりました。

A子さんはその店員を見つけると。

A子:すみません、ここの席でいいですか?

店員:はい、私でよろしければ。

A子さんは目的の店員に会えたものの、話すきっかけも持ちませんでした。

しかし、店員がいろいろとA子さんに話してきました。

A子さんは我を忘れて話し込み、夜中までその店に居ました。

A子:いけない、明日も仕事あるんです。

A子:急いで帰らなきゃ。

その日はルンルン気分で帰宅したことは言うまでもありません。

数日後、その店員の出勤日を聞いていたA子さんは、再度お店に行きました。

しかし、仕事で行くのが遅くなったため、あいにくその店員の前にはお客がすでに居たのです。

でも、A子さんは待ちました。

そして閉店近くなってやっとその席が空きました。

A子:すみません、席を移っていいですか?

店員:いいですが、私は今日早番なので、直ぐ終りますが。

A子:・・・・・。

A子さんは仕方なく、席を替わりませんでした。

頭の中にやりきれない気持ちが廻って暫くうつむいたままでした。

店長:すみません、もうじき閉店なので。

その言葉に我に戻ったA子さんは慌てて店を出ました。

タクシーを捜すA子さんに声がかかったのは店を出て直のことでした。

店員:すみません、今日は常連さんが早くから居ましたので。

A子さんが振りかえるとそこにはあの店員が居ました。

店員:僕がタクシー拾いますよ。

と言って、店員はタクシーを呼び止めました。

ここはもう店の外。

A子さんはきっかけを告げました。

A子:電話聞いていいですか?

店員:いいですよ。

と言って名詞に携帯の番号を書いてA子さんに渡しました。

その後A子さんは度々電話をしました。

繋がらないときは店員から後で電話がかかってきました。

A子さんは店にも通いました。

とても優しく接してくれる店員にA子さんは益々夢中になりました。

そして1ヵ月後、A子さんは閉店後に店の外で待っているとその店員が出てきました。

これはすでに電話で帰宅を一緒にすることは打合せ済でした。

一緒にタクシーに乗ったA子さんは思い切って告白しました。

店員:ありがとう、素直に受け止めるよ。

店員:あなたのことは最初から気になっていたし、とても嬉しいよ。

2人はそのままホテルへ直行しました。

1ヶ月と少し経ったある日、A子さんは約束通りお店に行くと店員が居ません。

お店の外から電話しましたが電話に出ません。

翌日店員から電話が入り、借金の取り立ててが来て行けなかったと言う。

A子:あなた借金があるなんて言わなかったでしょ。

店員:ごめん、昨年祖父がなくなって急にお金が必要になったから借りたのだけど、直ぐ返せなくて
膨らんでしまったんだよ。

A子:そうなんだ。

A子さんは後で返すことを前提に325万円を店員に渡しました。

その週また会社帰りにお店で会うことを約束したA子さんは開店と同時にお店に行きました。

しかし、店員は居ません。

A子:あの人は?

店長:あ、数日前に辞めたよ。

A子:えっ、じゃ電話してみる。

店長:電話ってこれかな?

A子:・・・・・。

この店では急な店員の都合に対処するためプリペード電話を貸し出していたのです。

A子:住所ってわかりますか?

店長:わかるけど本当かは知らないがね、でも個人情報保護の義務があるから教えられないがね。

店長:この店には3ヶ月だけだったから、全国を渡っているかと思う。

店長:先ほどもあまり電話が鳴るので出てみたらお店のお客さんからだった。

店長:もうこれで4件目だよ。

A子さんはなすすべもなくお店を後にしました。

そして翌月、A子さんは朝の体の異変に気づき始めました。